ドシャー!
オイラの目の前を歩いていた少年がいきなりびしょぬれになった。
超局所的雨か!?
と思って上を見上げると、
建物の上階から、別の少年がバケツで水をぶっかけてくるじゃないですか!
そして、なんと、次はオイラをターゲットにしているじゃないですか!
慌ててその場を離れ、難を逃れたと思った瞬間・・・
通りのわき道から現われた少年に
バケツで思いっきり水をぶっかけられた。
ああ、なるほどコノコトだったのか・・・
と、ハタと気付いた。
実は、朝、宿の朝食を食べていたら
「ヨシ、今日出かけるんでしょ?」
と、サラが聞いてきたんですよ。
「うん、アルメニア虐殺記念館と、ゲガルド修道院に行こうと思ってて」
と答えると
「気をつけてね。今日はアルメニアの特別な日だから」
と、意味ありげにウインクしたサラは、ちょっぴりいたずらっ子の微笑を浮かべていたのだ。
この時は、アルメニアの特別な日だから気をつけて、という言葉の意味と
微笑の意味を分かりかねていたのだが・・・
サラは、このことを忠告してくれていたのだ、と今気付いた。
アルメニアは本日、ヴァルタヴァルという水かけ祭で、オトナもコドモも、男も女も、地元民も観光客も、関係なく、容赦なく水をぶっかけ、ぶっかけられまくる日とのこと。
ということで、
バケツ少年の次は、水鉄砲少年達に襲撃され、
それから逃れたと思ったら、
今度は青年に、バケツで水をぶっかけられた。
この日、エレヴァンの街には、逃げ場なんてなかった。
問答無用に唐突に容赦なく無遠慮に水をかけられるってのは、
正直、あまり気持ちがいいものではない。
こういうのは、仕掛けられる側より、仕掛ける側のほうが楽しい。
かけられるより、かけるほうが、絶対楽しいはず。
と思いつつも、観光客という立場の遠慮から、
結局、最後まで、かける側には、まわれなかったオイラ・・・
今日の勝利者は、
この奇妙なイベントを底抜けに楽しそうにやっていた
少年少女たち、キミたちだよ。
人をずぶ濡れにしておいて、その屈託のない笑顔はなんだ、まったく(笑)。
・・・それにしても、今日はチャリで走らない日でよかったよ。
こんな日にアルメニアを走っていたら、
目立つがゆえ、絶対あらゆる人たちからターゲットにされて、
ずぶ濡れどころじゃすまなかったかもしれない・・・