
果たして旅の終わりってあるのだろうか?
6年間も旅し続けているというのに、
全然旅に飽きがこない。
このままでは、いつまで経っても終わりを感じることができず、
「やり切ったぜ」と、サッパリした形で
日本に戻ることは出来ないのではないのではないかと
不安を感じるようになってきていた
そろそろアジアを感じつつある今日この頃。
が、
つい最近、ようやく
あ、これが旅の終わりってことなのかも
って思うことがあったのだ。
それは、
<自分が変わったって感じたこと>
だった。
オイラはずっと、
旅をしたって人は変わらないよ
と思ってた。
生まれついて持っていたもの、
さらにそれまでの人生で身に付いたものは、
少々の体験で変わるものとは思っていなかったからだ。
実際、これまでは
ワーカホリックなところや、
心配性なところ、
なにかにつけて未練がましいところ、
自己中心的で協調性がないところなど、
日本に居た時のままの嫌いだった自分をずっと引きずっていた。
37年間、忙しい日常と
いろんなことを強要してくる世間にせかされることで作られた
なんだか心に余裕がない人間である日本時代の自分のまま旅を続けていた。
ところが、
6年目の後半の、ついこの間
そんな自分が、なんか変わったかも、
って、ふと思ったんですよ。
6年目はホントいろんなことが起こった。
パソコンの調子が悪くなり、
パソコンに触れる時間が少なくなったため、
日記書きなどそれまで<やらねば>って思っていた
<作業>から距離を置くことになったり、
相棒が盗まれたり、パソコンが壊れたりと、
無くなったら終わりだ、と思っていたものすら
無くしてしまうという経験をしたり、
それまでずっとほぼ一人で走っていたのに、
誰かと一緒に長距離ペアランをしてみたりと、
これまでとは違う状況が発生し、
日本時代からなんとなく続けてきた
<習慣>を変えざる事態に陥った6年目の一年間。
そう、習慣が変わることによって、
自分が変わった、と感じれることになったのだ。
人とは習慣によって作られる。
ルーマニアで日本から荷物を送ってもらった時に
荷物と一緒に同封してもらった
伊坂幸太郎の<ゴールデンスランバー>。
「人間の最大の武器は、信頼と習慣だ」
ってのがテーマになっていたこの話、
主人公の青柳君が、
ニセモノによって窮地に追いやられた時、
青柳君を青柳君たらしめ、
ピンチから脱するキッカケとなったのは昔からの習慣だった。
習慣とはなかなか変わらないもの。
だって、自分を形成するコアなのだから、
自分の意志では変えられない。
それは、<自分以外のナニモノか>の力によって
強制的に変えられなければ変わらないほど強力なものでもあるのだ。
オイラの場合は、6年経ってようやく
<自分以外のナニモノか>が訪れた。
それまで<日本時代の自分>でなんとかやってきたコトが
どうにもならないということを思い知らされる
<旅の理不尽>が立て続けに起こった。
そう、たぶん、5年くらいは
それまでのモノでなんとかやっていけるように世の中出来ているのだ。
海外旅行保険は5年まで入れるし、
いろんなモノの保障も5年ってやつが多い。
逆に、5年以上旅をすると、
それまでのモノではなんともならない領域に突入することになる。
うん、そう、6年旅をすると、
人は変わらざるを得ない状況に陥ることになるんです。
さてさて、
そもそも旅のキッカケってヤツはいろいろあったのだが、
その中の一つに、
「自分の嫌なところを変えたい」
というものがあったのは確か。
それが実際変わったことを感じ、
それによって、旅にある種の達成感を感じた今、
このまま旅が終わっても、満足できそうな気分になりつつある。
ああ、この気分があれば、旅の終わりをサッパリした形で迎えられる心の準備ができるのかも
って思ったりしてみたワケなのですよ。
ええ!?じゃぁ、もう旅を終えるんですか?
・・・というご心配はご無用。
今すぐ旅を終え、日本に帰っちゃうと、
また日本の習慣に戻っちゃうからさ。
ようやく自分の中に芽生えてきた<よき旅の習慣>ってやつが、
自分の中にちゃんと根付くまで、
旅を続けてみようと思います。
あと2年くらいは(笑)
2年経てば、揺らがない自分ってやつが確立できると思うんだけど・・・
でも、日本の<日本らしく>っていうパワーは凄まじいからな。
結局帰ったらすぐに元の自分に戻っちゃうのかも。
ま、そうなりそうになったら、
その時には、セネガルに逃避することにしよう。
どうにでもなるさ、と
思えるようになったのが、
自分の中で一番変わったところなのかも、ね。
あ、そうそう、
まだどうしても変えられない悪しき習慣ってのが、
もう一つだけ残ってまして。
それは、もっと味わなきゃっていうこと。
何事もせっかちにやっつけてしまう癖だけは
相変わらず日本時代から変わらない。
最近しばらく一緒に走った
マレーシア人のホワンくんが、
オイラの飯を食べる速さにびっくりして
「ヨシ、もっと味わいなよ」
って、言ったのを聞いて、
オイラ自身がハッとした。
食べ物だけでなく、
何事ももっと味わうと、きっともっと楽しくなるはず。
そう、今後は、もっともっと、ゆっくりと世界を味わうことにします。
さぁ、7年目に突入だ。
ということで、今後はさらに味わい深い世界をお届けしていきたいと思ってるんで、
引き続き、応援ヨロシクです。
5年以上の旅は面倒なことが起こりそうだから大変なのではなく、
5年以上の旅は面倒なことが起こるから面白くなる。
2014.9.24 タジキスタンの山の中にて