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パミール高原の<高原>たる由縁は、
高い高地が延々続くから。

道がある場所が高いため、
周囲に5000m~6000m級の山が聳えているのに、
全然高く感じない。

未舗装ダートなワハン回廊&パミール高原への上りきり、
これで最大の難所を終えたと思い、
腑抜けになったようにダラダラと延泊してたムルガープ。

人が住むこの村でさえ、
富士山より高い場所にあるのだ。
高地順応しているとはいえ、
もともとは低地で過ごしているオイラは、
毎朝、呼吸困難になって起きるという状況だった。

いやはや高いところはもうたくさんだ、
早いところ抜けてしまおう、
と4日目に重い腰を上げ、出発。

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しばらくは、
羊飼いのおじさんや、

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高山植物収集のおじさんたちが居て、
まぁ、まがりなりにも人が住める空間であることを
証明してくれていたのだが・・・

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上り坂を上り、
高度をさらに上げるにつれ、
生物の気配がまったくなくなってきた。

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走っていたらすぐに息切れする。

動悸が止まらない。

吐く息の水分が髭に付き、それがすぐに凍り付く。

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日中なのに氷点下。

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これが4000mを越えたセカイ。

一応、4000mを越えたセカイを走るってことは、
南米のペルーのブランカ山群で経験済みだった。

が、あれはもう5年も前の話。

ツライ経験ってのは、
時間と共に記憶が抹消してくれるもの。
ただ脳にはあの時の綺麗だった風景だけが残されていたのだが・・・

はぁはぁという息切れとともに、
体が次第に、4000mの辛さを思い出してきた。

この先には、4655mのAqbaytal Passという峠が控えていた。
もちろん地図で見て事前にわかっていたのだが、
事前に分かっていた時点では、
体がツラサを忘れてしまっていた。

ん?4655m?大したことないっしょ、余裕余裕。
だって、最大の難関のワハン&高原上りはもう終わったんだもん。

なんて思っていた。
が、次第に体がツラサを思い出すにつれ、
この<4655m>という峠の高度に
怖れを抱くようになった。

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4655m・・・?
今まで自転車なんかでは上ったことがない高度じゃん。
ありえない高さだよ?

実際ありえない高さだった。

峠自体はそんなに急な勾配ではなかったのだが、
少しの上りでさえ、ペダルがこげない。
普段の高度であったら、平気で登れる坂なのに、
まったく上ることができない。

空気が薄すぎる。
人間が活動できるセカイなんかじゃないのだ。

息が激しくきれる
動悸がおさまらない

体が拒否反応を示している

こんなところで、運動なんかするんじゃねぇ、と。

それでも、オイラは前に進んだ。

なんのために前に進んでいるのか?
そんなことがチラリと頭をかすめたが、
そんなことはどうでもよかった。

真っ白になった頭で、
ただただ、前に進んだ。

到着した峠の頂上では、ただ空の蒼さが眼に染みた。

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やった、という気力なんて湧かず、
ただ4655mを越えたという事実だけがオイラの中に残った。

やったとか、
そういう類の満足感は、
きっといろんなものに余裕があるから生まれる感情なのだろう。

自分の限界を超えたものを成し遂げても、
そういう感情は生まれない。
生まれるだけの余裕がもはや自分にないのだ。

とにかく、これで、今度こそ最大の関門を抜けただろ、
と思ったのだが・・・

いやいや、パミールはこれで終わらせてくれるほど甘くなかった。

この日、峠に上るだけで精一杯となり、
日暮れまでに峠を下ることができず、
ほぼ4500mのセカイでテント泊することになったオイラ。

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夕食の用意をしようとしたら、
水がすでに氷り始めていた。

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もちろん、翌日はカッチカチに凍ってしまい、
喉が渇いているのに、水を飲むことすらままならない。

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っていうか、猛烈に寒い。
夜と明け方にはありえないくらいの極寒なセカイに豹変するところなのだ、ココは。

夜明けと共にすぐにくだり、

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カラキョル湖沿いの人が住むゾーンに到着し、

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心温かい村の人たちに囲まれ、一息つくのもつかの間、

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走り出したらすぐに、目の前には雪山が見えてきた。

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その雪山に道が続いている。

雪山・・・?

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パミールの冬が来る前に走り抜けたいと思い、
中央アジアを急ぎ足で駆け抜けてきた。

これまで、時折粉雪が舞うことがあっても、
積もるようなことはなかった。
ワハンでは雪山をみることはあったのだが、
それは道沿いではなく、
聳え立つ山の頂に降り積もったものだった。

その雪が道沿いに見える・・・?

最大の関門が最後に待ち受けていた。

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タジキスタンを抜け、キルギスに入国する最後の峠を
越えた途端風景が一変した。

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目の前が雪山じゃんか・・・

そう、目の前の山が、すべて雪で覆われていた。

幸い、まだ道が雪で覆われきっているというワケではない。
なんとかがんばれば走れる状況だった。

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が、雪道と自転車は最悪の組み合わせ。
雪が解け始めの路面が、タイヤを滑らせる。

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そんな道を走り切り、
やっとのことで、キルギスのサリタシュの村に辿り着いた。

あ~、これで、今度こそ、終わったよ・・・
と、投宿した宿で出してもらった飯を食べながら、
一人祝杯をあげ、満足感に浸るオイラ。

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が・・・サリタシュの村を出発した後、
更なる雪山峠に遭遇することになるとは・・・

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パミール高原・・・
ココは、ただ風景が綺麗なところなのかなって思ってたんだけど、
それは完全に勘違いでした。
ここは、風景を楽しむ場所なんかじゃないっす。
単に景色が綺麗っていうのなら、
他にいくらでも絶景スポットはありますがな。

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が、4000m越えの高地がずっと続くという人の限界を超えたセカイ、
そこをひたすら自転車で走って、
自分の、いや人間の限界以上のことを体現するってのは、
ココでしかできないこと。

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そう、それがパミール高原に
チャリダー皆がやってくる理由なんだってことが、やっと、ようやくワカリマシタ。
やっぱりチャリダーって、真正マゾな人たちなんですわ、ハイ。

2014.10.18 Sat l タジキスタン l コメント (4) l top

コメント

パミール高原、じゃなくて高地とかそういうふうに改名したほうがいいですよね。。。それにしてもすごい所を越えましたね!本当におつかれさまでしたっ。
2014.10.24 Fri l おりょう. URL l 編集
おりょうさん、パミール、ホント凄いところでした。挑む前はこれほど凄いところだなんて思ってもみなかったですよ・・・って、知らなかったから挑めたかも。あんまりエクストリーム過ぎるところだと尻込みしちゃいますから。ということで、あんまりハードルをあげないためにも、高原くらいの軽いイメージの名称で、やっぱりいいんじゃないのかと思ったりしました、ハイ。
2014.10.24 Fri l チャリヨシ. URL l 編集
な、なるほど。。では、高原で結果オーライだったんですね。この高原を越えた後のヨッシーさんのお顔、アンデスの民みたいになってましたね。。平原をはしっていたらまた元通りになるのかな。これから中国編たのしみにしています。
2014.10.25 Sat l おりょう. URL l 編集
おりょうさん、ええ、まぁ、僕にとっては結果オーライだったってことで(笑)で、顔がアンデスの民みたいになってます?う~ん・・・やっぱり高原ではこんな風に焼けちゃうんですよ。寒いくせに日中はめっちゃ日差しが強いんで。平原にしばらくいたら、もとに戻るとは思うんですけど・・・この後また中央アジアに戻るし、その後、ネパールでヒマラヤとか行く予定なんで、まだしばらくアンデスの民顔でいると思いま~す。
2014.10.25 Sat l チャリヨシ. URL l 編集

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